こんにちは。S塾長です。
最近、生成AIを使う機会が増えてきました。質問に答えてくれたり、文章を作成してくれたり、難しい内容を分かりやすく説明してくれたりと、さまざまな場面で役立つ便利な道具です。
中学生の皆さんの中にも、学校の課題や調べもの、英語の学習などに生成AIを使っている人がいるかもしれません。
一方で、「生成AIを使うと、自分で考える力が育たないのではないか」「宿題に使ってもよいのだろうか」と心配される保護者の方もいらっしゃると思います。
私が大切だと考えているのは、生成AIを使うこと自体を問題にするのではなく、生成AIが出した答えを、どのように扱っているかという点です。
使い方によっては、学習の質を高め、作業の効率を大きく上げることができます。今回は、生成AIをうまく活用するための考え方を紹介します。
生成AIを使うときにやってはいけないことの例と改善策
具体例として、「学習塾の宿題」を挙げます。
学習塾では、新しいことを学んだあと、それぞれの項目の定着のために、「宿題」を出します。これは繰り返し練習することで、新しく習得したことを定着させるためのものです。
「宿題が分からない」等の理由で、生成AIを使って出力された答えだけ書いて持ってくる生徒がまれにいます。
この行為には2つの間違いがあります。
1つは、宿題の本来の意図が達成できていない点です。
「宿題」は「繰り返し練習して定着する」ことを目的に渡していますので、自分で考えてやることで、初めて本来の目的を達成できます。
2つ目に、生成AIが出した答えが正しいかどうか判断できないのに、その出力をそのまま使ってしまっている点です。
このあとで詳しく書きますが、生成AIの出力をそのまま信じてはいけません。正しいかどうかを必ず考える必要があります。
こういう意味では、「宿題の解答を生成AIで作成したが、その出力を見ながら真似して自分でできるようになる」ような使い方であれば、上手な使い方であると言えます。
生成AIは「答えを出してくれる道具」ではなく「考えるための道具」
生成AIを使うと、質問に対してすぐに答えが返ってきます。文章の作成や情報の整理も、短い時間で行うことができます。
しかし、ここで注意したいのは、答えが出てくることと、自分が理解できていることは別だということです。
例えば、国語の読書感想文を書くときに、生成AIに作品名を入力して感想文を作ってもらい、それをそのまま提出したとします。
文章は完成するかもしれません。しかし、その文章は自分が感じたことや考えたことを表しているでしょうか。また、作品を読んで自分なりに考える経験はできたでしょうか。
これでは、課題を提出するという目的は達成できても、学習として得られるものは少なくなってしまいます。
一方で、作品を読んで自分の感想をまとめた後に、生成AIに「この感想をより分かりやすく伝えるには、どのように書けばよいですか」と質問したらどうでしょうか。
自分の考えを生かしながら、表現を改善することができます。
数学でも同じです。分からない問題の答えだけを聞くのではなく、「この問題を解くために、最初に何を考えればよいですか」「この解き方のどこが間違っていますか」と質問すれば、自分で解くためのヒントを得られます。
このように、生成AIは使い方によって役割が変わります。
自分の代わりに考えてもらうのではなく、自分が考えるために手伝ってもらう。
これが、生成AIを学習に活用するうえでの基本です。
生成AIを活用すると、学習の効率も質も高められる
生成AIのよいところは、単に作業を早く終わらせられることだけではありません。自分一人では難しかったことに取り組んだり、考えを深めたりするためにも役立ちます。
例えば、次のような使い方が考えられます。
① 分からないことを、自分に合った説明で学ぶ
教科書や参考書を読んでも理解できないとき、生成AIに別の説明をしてもらうことができます。
「中学生にも分かるように説明してください」
「具体例を使って説明してください」
「もっと簡単な例から説明してください」
このように質問の仕方を工夫すれば、自分が理解しやすい形で説明してもらえる場合があります。
ただし、生成AIの説明が常に正しいとは限りません。教科書や先生の説明と照らし合わせながら、内容を確認することが大切です。
② 自分の理解度を確認する
英単語や理科・社会の用語を覚えた後に、生成AIに確認問題を作ってもらう方法もあります。
例えば、「中学2年生の英語の不定詞について、基本問題を5問作ってください」と依頼すれば、練習問題を用意してもらえます。
問題を解いた後は、答え合わせをするだけでなく、間違えた理由を確認しましょう。
生成AIに「この問題で間違えやすいポイントを説明してください」と質問することもできます。
ただし、問題や解答に誤りが含まれる場合もあるため、必要に応じて教科書や問題集で確かめましょう。
③ 自分の考えを整理する
作文や発表の準備をするとき、考えを整理するために生成AIを使うこともできます。
例えば、環境問題について調べる場合、自分で調べた情報や意見を整理したうえで、「このテーマについて、ほかにどのような視点が考えられますか」と質問します。
自分では思いつかなかった視点に気づくことがあるかもしれません。
ただし、生成AIが示した意見をすべて採用する必要はありません。自分の考えと比べ、納得できるものを選びましょう。
このような使い方をすれば、情報を集める時間や考えを整理する時間を短縮しながら、より深く学ぶことができます。
作業を効率化し、空いた時間を理解や練習に使うことが、生成AIを活用する大きなメリットです。
生成AIの答えを、そのまま使わない
ここまで説明したように、生成AIは非常に便利な道具です。しかし、出力された文章や情報を、そのまま正しいものとして使うことには注意が必要です。
生成AIは、もっともらしい文章を作ることができますが、事実と異なる内容を出力することもあります。
また、文章として自然であっても、自分の課題の条件に合っていない場合や、内容を十分に理解できていない場合もあります。
そのため、生成AIを使うときには、次の3点を意識しましょう。
① 内容が正しいか確認する
歴史上の出来事や科学的な事実などは、教科書や公的な資料などでも確認しましょう。出典が示されている場合も、実際にその資料に書かれているかを確かめることが大切です。
② 自分が理解できているか確認する
生成AIが作った文章を読んで、「自分の言葉で説明できるか」を考えてみましょう。意味が分からない言葉や説明できない部分があれば、そこを質問したり、調べ直したりします。
③ 課題の目的に合っているか確認する
課題には、それぞれ学習の目的があります。自分で考えることが目的の作文や、計算の過程を身につけるための問題などでは、答えをそのまま使ってしまうと、学習の目的を達成できません。
学校や先生から示された生成AIの利用ルールも守りましょう。課題によっては使用が認められていない場合もあります。
そして、もう一つ大切なことがあります。
生成AIを使ったことを隠すのではなく、必要に応じて、どのように活用したのかを説明できるようにしておくことです。
生成AIに任せた部分と、自分で考えたり修正したりした部分を区別できれば、学習の成果を自分のものにしやすくなります。
保護者の方へ:生成AIを使っているかどうかだけでなく、使い方を見てください
お子さまが生成AIを使っていると知ったとき、心配になる保護者の方もいらっしゃると思います。
しかし、使用しているという事実だけで、よい・悪いを判断する必要はありません。
大切なのは、お子さまが生成AIを使って、どのように学んでいるかを知ることです。
文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver. 2.0)」では、生成AIの出力は参考の一つとし、最後は人間が判断すること、学習の目的に照らして活用することが重要とされています。
例えば、次のような点を確認してみてください。
- 分からないことを理解するために使っているか。
- AIの回答を読んで、自分でも考えたり調べたりしているか。
- 出力された内容が正しいかどうかを確認しているか。
- AIの文章をそのまま提出するのではなく、自分の考えを加えているか。
- AIを使った後に、以前より理解できることや、自分でできることが増えているか。
反対に、課題を入力して完成した答えを受け取り、そのまま提出することが習慣になっているなら、使い方を見直す必要があります。
その場合も、すぐに使用を禁止するのではなく、「どうしてこの答えになったの?」「自分ではどのように考えたの?」「この内容を自分の言葉で説明できるかな?」と問いかけてみてください。
生成AIを使った成果物だけを見るのではなく、そこに至るまでの過程にも目を向けることが大切です。
また、氏名や住所、学校名、成績、友人の情報など、個人が特定されたり、プライバシーに関わったりする情報を不用意に入力しないことも、家庭で確認しておきたい点です。利用するサービスの年齢制限や利用条件も確認しましょう。
生成AIを適切に活用するためには、禁止するかどうかだけでなく、使い方を親子で話し合い、少しずつ判断力を身につけていくことが重要です。
まとめ:生成AIを使いこなす力も、これからの学びの一つ
生成AIは、学習を助け、作業を効率化し、自分の考えを深めるために活用できる便利な道具です。
だからこそ、使うこと自体を悪いと考えるのではなく、どのように使うかを考える必要があります。
生成AIに答えを出してもらい、そのまま使うだけでは、自分の知識や考える力は十分に育ちません。
一方で、分からないことを質問したり、自分の考えを整理したり、間違いを確認したりするために使えば、学習をより充実させることができます。
大切なのは、生成AIに考えることを任せきりにするのではなく、自分が考えるために生成AIを活用することです。
中学生の皆さんには、便利な道具に頼るだけでなく、その答えを確かめ、自分の頭で考え、判断する習慣を身につけてほしいと思います。
そして保護者の方には、生成AIを使っているかどうかだけでなく、お子さまがどのような目的で使い、何を学んでいるのかを見守っていただきたいと思います。
生成AIを正しく活用しながら、自分で考え、学び続ける力を育てていきましょう。

